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その1 史上最強雀士コテツ編 第二話 卓上の名探偵

Auteur: 彼方
last update Date de publication: 2026-06-17 09:52:11

2.

第二話 卓上の名探偵

「コテツくんは数の概念を完全に理解しています」

 小学1年生の1学期にコテツの母が最初に先生から言われた言葉である。それを言われた母は誇らしかったのか、その事をコテツに報告してきた。

 コテツは遊んでばかりの子だったが算数はできた。特に図形は得意で、解法を習う前から自分なりの方法で答えに辿り着いたりすることもあって先生を驚かせた。

 小学4年生になり図書委員になったコテツは委員の仕事は忙しくなかったのでほとんどの時間は読書をしていた。その時出会ったのが推理小説だった。推理小説の探偵のように一を聞いて十を知るような『名探偵』に憧れて推理ごっこに夢中になる。

 中学生になる頃には少年探偵団を作って学校で起こる小さな事件を推理した。

 だが、当然の事ながらそんな都合良くポンポンと事件など起きたりしない。そんな平和な中学生活が終わろうとする3年生の冬休みに運命の出会いをすることになる。 

「麻雀出来る?」

 初めての麻雀の誘いだった。全く分からない無知な状態だったので。

「いや、知らない」

 と答えると。「そっかー、でも大丈夫だよ。むしろコテツには向いてる遊びだと思うな~」とのこと。

(???)

 どういうことかなと思いながらも興味はあったので参加。誘ってくれた友人から遊び方を教えてもらう事にした。

「とりあえず同じの2枚揃えればいいよ。それが7つでアガリ。あとは1.9.字牌全部集めたらアガリ」

「いちきゅーじはい?」1.9.字牌と言われても何のことか分からないからそれが何なのか聞いた。とりあえずその2種類のアガリだけ説明されてゲーム開始。あとはやりながら覚えることになった。無茶苦茶である。

「あっ、出来た! それで完成」

コテツ手牌

二二四四伍伍⑤⑤⑨⑨発発中 中ロン

 コテツはさっそくチートイツを完成させた。友人がチートイツドラ2で4ハンだから満貫だ。と教えてくれる。点棒を言われるまま貰う。どらにってなんだろう?

「それ、アガリ」

コテツ手牌

三三四四八八2244556 6ロン

 友人が今回はタンヤオになってるからザンクだねと言う。たんやおってなんだ。

(後でわかることだが、この点数はふたつとも間違っている。最初のが6400点で2回目のが3200点が正解)

 よくは分からないけど28000点の二着で終わった。それが最初の麻雀だった。

(なんかまだ分からないけど楽しい!)

 それからは時間があれば麻雀をやり集まらない時は1人で麻雀の勉強をした。それでルールを覚えた頃にやっと友人が最初に言った(向いてる遊び)と言われたその意味を理解した。

(……そうか、このゲームは推理ゲームなんだ。リーチという事件が起きた時に捨て牌という現場を見てプロファイリングするということか。なるほど、そういうことなら向いている!)

 コテツには特殊な能力があった。音楽を記憶する能力だ。1回聴いたらメロディーを記憶し2回聴いたら歌詞も記憶してしまう。

 そんな能力があるのだが、だからどうだと言うんだと自分では思っていた。高校に入って最初に校歌を練習していた時に覚えたら後ろを向いて座る事と言われ2回目で座った時は学年主任が寄ってきたが3番まで完全に記憶していることを確認し狼狽させた。

 カラオケでのレパートリーは豊富で困らないというだけの才能。かと思っていたのだが、この力が麻雀に役立つことになる。

 相手が何を欲しくて何がいらないかを推測するヒントに『手出し』という情報がある。

 手出しとは今引いた牌を収納して手の内の牌を出したということ。その情報を知っていると何が危険か分かりやすくなるのだが、はっきり言ってそれを全て見ることはちょっと難しい。麻雀とは相手は3人いて自分の手のことも考えてと忙しいゲームであるため、ついつい目を離してしまう時があるものだ。

 しかし、コテツは歌記憶能力があるので打牌音に耳を傾けているだけでいい。

タン……タン…タン

のリズムを丸ごと記憶して少し間隔があいた時に切った牌をヒントに読む。

 手出しだろうとツモ切りだろうと考えた牌はヒント牌である。

 その考えた牌は打牌音を音楽として捉えることで記憶可能なためこの才能はおおいに役立った。見てなくても聴いてればいい。

 その能力のおかげか、はたまた勉強熱心なためか高校を卒業する頃にはコテツはいっぱしの雀士になっていた。特に読みに関しては人読み手順読み雰囲気読みと優れた能力を発揮していた。それ故にスレスレの所を読み切りすり抜ける麻雀を得意とした。

「この辺が危ないのかな? じゃあもうカンだ」

「なんでわかるの!」

「音で」と言った具合である。

 そんな彼は友人達にこう呼ばれ……もとい呼ばせていた。

『卓上の名探偵』と。

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